職人の想い【第11回】

職人の写真

Story

進化し続ける鋳物づくりを

型制作室

梅田泰輔

作業風景

能作本社の象徴とされる「木型倉庫」に
並んだ型のプレートは、
私が所属する型制作室で作っています。
まず、製品と同じ形をした模型を
木型屋さんに作ってもらいます。
それをプレートに貼って、
さらに溶かした金属(湯)が
流れ込む道(湯道)を作ることで、
量産型のプレートが完成します。

木型屋さんに作ってもらうのは
製品の部分だけです。
型制作の仕事では、溶かした金属を
流し込む入口(湯口)から湯を流し込んで、
湯道を通って製品となる部分に到達する、
というその湯の流れを設計しています。
金属が冷えて固まる時に、縮んだり歪んだり、
いろんな動きがあるので、
それが製品としてきれいに整うように
湯道を工夫する必要があります。

作業風景2

能作の製品の中でも
代表的なKAGOシリーズは、
発売当初は、流し込んだ錫が固まる際に、
エッジ部分にバリが張り、
それをきれいに取り除く必要があったため、
多くの時間と手間がかかっていました。
何度となく鋳造現場とやり取りをし、
度重なる型の改良により、
現在のクオリティを保つことが
できるようになりました。

KAGOシリーズは線がいくつも
連なった形状のため、
他の製品に比べ湯の流し方に
とても神経を使います。
流す勢いが強すぎると縁にバリが張りやすく、
また空気も巻き込んでしまうため、
割れや表面の荒れ等に繋がってしまいます。
逆に、流れが弱いと先端まで金属が行き届かず、
形にならないといった現象が起こります。
そのため、湯を流す加減が
非常に重要になるのです。

KAGOに限らず型は永久に
使えるものではないため、
現場と相談しながら改良を重ね、
品質の良い鋳物になるよう進化を続けています。

職人の写真

型制作室
梅田泰輔

静かな闘志が鋳物づくりの現場を支える

Favorite

職人のお気に入り

<片口 - 大>

現会長から、今の「片口」が完成する前の
試作品を見せてもらったことがあります。
正直なところ、緩いな、もっと良いデザインに
なるんじゃないかなと感じていました。
小泉誠さんデザインの
「Kuzushiシリーズ」は、
錫100%の曲がる特性を生かし
「最初からあえて形を崩す」発想を
転換したデザインが特徴です。

一方で片口は、そのカタチの緩さから、
丸く成形したり細長く成形したり、
使う人がカタチを生み出す、
それこそが錫100%ならではの
魅力と思っています。
錫のやわらかい特性により
製品に個性が生まれることで、
「これでいいんだ!」と腑に落ち、
それ以来どんどん好きになっていきました。

片口 - 大

片口 - 大

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